はじめに
この一連の記事で現型モデルとして、名付けていた概念。これは「元」なる精神の奥底より、観察しやすい所にあり、現型をより直接生み出すものの意を込めた。
このように、イメージしていたモノに、比較的近しい学術上の概念を知った。スキーマである。
そもそも、この言葉を知ったのは「コーピングのやさしい教科書」であり、ここにストレスを拾いやすい思考癖のようなものとして、「スキーマ」、正確には「早期不適応的スキーマ」が紹介されている。
先の本を細部まで読んでおらず、Googleで「スキーマ」を検索して出てきたのは、wikipediaの自己スキーマだった。
ここの説明だと、スキーマは特定分野、趣味、職能に対する自己受容とその限定の様であるように読み取れる。ここで次に検索すべきワードが思いつかなかったが、Amazonで「スキーマ」という語を検索して出てきたのが、下記の書である。
スキーマ療法―パーソナリティの問題に対する統合的認知行動療法アプローチ
- 作者: ジェフリー・E.ヤング,マジョリエ・E.ウェイシャー,ジャネット・S.クロスコ,伊藤絵美
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2008/09/27
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
お値段的に中身を確認せずに買うのを差し控え、書店で以下の本とも出合いたっぷり30分ぐらい内容を見比べた。
スキーマ療法最前線: 第三世代CBTとの統合から理論と実践の拡大まで
- 作者: M.ヴァン・ヴリースウィジク,J.ブロアーゼン,M.ドナルト,Michiel van Vreeswijk,Jenny Broersen,Marjon Nadort,伊藤絵美,吉村由未
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2017/07/15
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
結局買ったのは後述の本である。この本はオランダで出版されたスキーマ療法の最先端を記した本の抄訳だ。買った決めては「監修者まえがき」に「スキーマ療法をまったく知らない人でも、本書をよむだけでその概要を理解できるようにする」「スキーマ療法に関する最先端の理論やモデルや技法を提示する」という基準で内容が選ばれえている点。前述した前者の本は「バイブル」らしいので、いずれ読むにしても、自分は予算のこともあったが、まずは、こちらを手に取ることにした。「中核的感情欲求モデルの新たな展開」に一章割いていることも判断の材料にした。
内容の紹介
僕がこの本で「漫画的プロファイリング」の観点から、大きく期待しているのが第二章「スキーマ、コーピングスタイル、そしてモード」第三章の「中核的感情欲求モデルの新たな展開」である。簡単に第二章に関しては話そうと思う。
そもそも注目したのは「スキーマ」という概念そのものであるが、「スキーマ療法」において焦点があたるのは、「早期不適応的スキーマ」である。この本では19種類が列挙されており、少し引用する。
「情緒的剥奪スキーマ」他者は基本的な欲求を満たしてくれないと捉える。
「不信/虐待スキーマ」他者は何らかのやり方で故意に自分を虐待するか、だますか傷つける存在である。
「失敗スキーマ」自分は仲間週んだんと同じように物事をうまくやることが出来ないと信じている。
「罰スキーマ」人は、過ちを犯したら厳しく罰されるべきだと信じている。攻撃的で、不寛容である、我慢ができず、他人に容赦しない。
19種の幾つかは、記事でちょこっとだけ触れたことのある「発達心理学」における発達段階での課題による「固着」などが下敷きにあるのであろうことが伺える。
「幼少期には適応的であり、周囲からも承認される。しかしまた、発達課題の十分な達成をかなりの程度で阻害するとも考えられている。」と説明されている。
このスキーマに対する対処(コーピング)に「服従」「回避」「過剰補償」の三種類ある。素人の見識ではあるが、防衛機制との関係を想像する。
モードとは「スキーマモード」という「常に変化しながらその瞬間その瞬間にその人を支配する心的状態」とあり、前述の「スキーマ長期的で安定した「特性」であるのに対し、モードは短期的な「状態」である。」としながら8頁の解説がある。
終わりに
そんな訳で、連休で、小説のプロットに取り組むか、この2章を何度も精読して思索するか悩んでる所です。
ある程度、自分の考えを持ちながら、情報、ネットや本を漁っていくと自分の目指す観点に近い形で整理された情報や関連しそうな情報に行き当たった時にソレと気付きやすいのだなと言う得心もあり、そもそも、人間を観察した結果を頭で纏める。他者や人間の理解の雛形を欲していた点でもちょっとしたブレイク・スルーである。
また、これの周辺の観点を利用した「自己組織化」に対する議論はないのかというのが僕の関心であるが、英語ができないとこうい所で損すると自戒したり。