読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Lesaria の Multiple-Choice

とりあえず、日記がメインのはず。最近では、小説を公開したり、聴いた音楽や考えてることについて話してます。

落書き小説 「小さくなったドラえもん」

自作小説

「小さくなったドラえもん

 ドラえもんが小さくなった。気がついたのは今だけれど、テレビに映るその大きさが半分ぐらいになった印象を受ける。よくよく見ると作画上のズームの問題ではなく、明らかに他の登場人物との対比上の問題に思う。漫画の絵柄が巻数が進むと絵が変わるのと同じようなものか。長い時間を掛けての変化ならここ数年のそれは僅かだろう。姉夫婦の家で5歳になる甥を膝に乗せぼんやりと思った。

 番組が終わると彼にとっては当たり前であるらしいドラえもんの大きさには触れずに、どの秘密道具が好きか尋ねてくる。
タケコプターがいいよ、空が飛べる夢があっていいじゃないか」
 その答えが気に入らないらしい、どこでもドア、スモールライト、入れ替えロープ、フエルミラー、空気クレヨン。次々に道具の名前を挙げて質問してくる。子供のころ僕も見ていたはずだが、正直そんなに道具があったのかと舌をまいた。

 大学の文学部棟の横を過ぎる、様式などはさすがに知らないが時代がある、そこに風情も感じる。次に見えてくる図書館は窓が大きく居心地の良いおしゃれな外観で建て替えられて間もない。さらに奥に進めばやはり古いままの経済学部棟に突き当たる。週が明けてからまた、ドラえもんを最後に見たのはいつだったろうかと考えていたが、思い出せないのであきらめた。動画サイトで過去の放映を探すのも面倒だった、正直そこまでの関心はない。なによりめんどうだ。
 専攻毎にある研究室。経済学のそれは3部屋からなる1室を学生に解放しており、学生が思い思いに過ごす。自習するもの、読書するもの、専門的な議論をするカップル。そこにいるのは後輩で、僕と同じ四回生の生徒は皆無だ。
 「ちーっす」僕を見て軽く挨拶してきたのは研究室備え付けの分厚い専門書をを読書していN美だ。「おう」返事してはす向かいの席に腰を下ろす。僕は鞄からキンドルを取り出して自分の専門とは全く関係のない小説を読み始める。昨日買った流行りの軽い推理小説で、電車の中で読んでいて先が気になった。登場人物たちが言葉を交わし、少しづつ謎が解きほぐされていく。
「先輩暇そうですね」
「何だよいきなり、今いいとこなんだよ」
「いえ、T先輩もO先輩も会社説明会だからって来ないじゃないですか」
「そうだな」
「ミルさんは院に行くから必死で卒論の論文読んでるらしいですし」
「進路どうするんですか」
「どーするんだろうねぇ」と笑って見せた。
「なんです、留年しちゃいます?」
「いや、単位は足りてるんだけどさ」
「なんかやる気がしなくてね」
「なんとなく留年とかこのご時世、親御さん大変でしょう」
「親もあきらめてるさ、浪人せずに入学したんだから、1年ぐらいいいでしょ」
「そうですか?」
「就職したら毎日忙しいだろう。したくもない仕事を8時間だよ」
「院はどうなんです?」
「研究したいこともぼやけちゃったし、そのことを四六時中考えるのもぞっとするんだよね」
N美はため息をついてから笑って。
「まぁ先輩らしいといえば先輩らしいですね」
「まぁね」
 それからも二言三言言葉を交わしては数分経つといった時間を過ごしたがN美は講義に出席するために研究室を後にした。僕はさっきの会話から留年してしまうことに心が動いていた。そんな気持ちからかいつもより面倒に思えて今日の講義に出ずに研究室で過ごしアパートに帰った。

 ワンルームの部屋にもう3年とちょっと住んでいる。さすがに一人暮らしにも慣れてきた。当初几帳面だった僕も手を抜くことを覚えて部屋には脱いだ服がところどころに落ちているし、ゴミも屑籠にこそ入れてあるものの、寝坊して出せなかった先週の紙ごみは残っていた。スマフォにスピーカーを認識させて最近の曲を流す、ベッドに腰かけ、またそのスマフォでSNSをのぞく、そんな風に時間を潰す。
 そのまま横になって暫くして「ドラえもんの秘密道具で何が好きか」を自問している自分に気づく、どれだってあれば便利だ。例外的なヤツもあるけれど。一つだけ一つだけに絞るならどれか、そう問うたが、便利そうだという以外に気持ちが動かない。記憶している以外にどんな秘密道具があったか、検索を掛ける。
 フエルミラーでコピーしたものは反転する。だからお金を増やしても使えない。原作ではそういうことなってるが、もう一度コピーすれば正常なお金が出るだろう。しかし身も蓋もない。一人暮らしの身にはグルメテーブル掛けが魅力的に見える。しかしあとで原材料費とか請求が来ないのか、未来の秘密道具とはいえ無から制限なく食べ物を生成できることはあるまい。すりこみカプセルは魅力的に思えるが、偽りの愛情に価値があるか悩ましく、別の目的なら後が面倒だ。と思考を巡らせてから自分を恥じる。

 今週末も兄夫婦の家に向かう。都内から少し離れた私鉄の沿線にある賃貸マンションだが子供がある程度育つまではそこに住むらしい。甥を膝に乗せてドラえもんを一緒に見る。姉はその光景に笑顔を見せながら、夕飯を作っている。鼻歌も聞こえてくる。甥はかわいいが自分の子供を持つことは面倒に思えた。ドラえもんはやっぱり小さかった。番組は終わり、義兄が帰宅して、夕飯を囲む。
「あんた就職活動ちゃんとしてるの」
「んー」テレビに夢中になってるゼスチャーで返事を濁す。
「社会人生活は長いからよく考えて仕事を選んだ方がいい、自分が40年は腰を据えて時間を費やしてもいいと思えるような」
「義兄さんは今の仕事どう思われてるんですか」
「嫌になることもあるけれど、自分で良く考えて選択したから納得して続けられている」
「あら、今の仕事不満なの」姉が尋ねると、苦笑いする。
 仕送りと週3日のバイトで生活している。それすら面倒な僕にはフルタイムで仕事をしている自分なんて想像がつかなかった。ついでに心の中で義兄は社蓄だなと思うことにした。

 帰り道、どうせ一年留年するなら翌年「就職」をするにしろ「院」を目指すにしろ納得の行く選択をしたほうがいいのだろうと思った。だからその日から進路について結構真剣に考えた。自分なりに前向きに。自分がどうなりたいのか。どうしたいのか。先の二つ以外の選択もあるかもしれない。大学の研究室や図書館で本を片手に、就職活動をしている同級生達は自己分析の一部としてこれを行っているんだろうとは思いながら。来年の自分が想像できないながらも、翌週には20年後の目標らしきものが浮かんだ。

 次に甥とテレビ見たとき、ドラえもんはこの間より大きくなっていた。姉にいつもと大きさが違うと主張したが、姉も義兄もそんなことあり得ないと頑なに主張した。甥はそんな僕を不思議そうに見ていた。


 

 これは漫然と僕が小説を書かずにすごしちゃうので「今日は日記の代わりに掌編書いてさらしちゃえ」と思って書いた「絵」で言えば、「落書き」に相当する小説です。

 いつもプロットを作成しながら、その作業のストレスで頓挫しつつ、毎度プロットの作り方ばかり考えているのですが、それだと実際の書く能力が発達しないし、すでに身に付けたレベルが低下しちゃうですしね。まぁ「落書き」なので未推敲です。誤字ぐらい後から気付くと直してるかもですね。なんとなく出だしのイメージから自然と出てくるものを吐き出すように書いたのですが、半日以上かかりました。んじゃ今日はこの辺で。今から出かけます。

 

 

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

 

 

アウトラインから書く小説再入門  なぜ、自由に書いたら行き詰まるのか?

アウトラインから書く小説再入門 なぜ、自由に書いたら行き詰まるのか?