自作小説
本日、過去作に挿絵を追加しましたので、目次ページの再掲をいたしました。挿絵の追加されているページは★を目印に付けてあります。挿絵の作成にあたりましてはNET(Second Life)で交流のある方お二人に甚大な協力を頂きました。ここで改めてお礼を申し上げ…
小話 えっと七夕は、24節季で言う小満に書いた駄文でございます。みな様、御笑納ください。 「節季」 秋吉洋臣 ( Lesaria Minchiliath ) 今日は七夕、小暑。23日は大暑なんですが、ここ数年は、小暑が早まって、大暑。大暑は更に暑いので獄暑 なんじゃな…
ロートルは、おっかなびっくり歩くのを見かねて、八神幸子が説得したため、事務所に残った。彼女の白いセダンで、二人、新宿MSビルに向かう。 私の持つ、新宿駅西口のイメージと言えば、どこが地上か判然としない高層ビル群と言ったところだ。駅から地下通…
川原瞳のベッドの上。彼女の部屋の天井を眺めながら、自己の同一感に若干の揺らぎを感じつつ、横たわっていた。エリカから届いたメールの内容でシャーロックは予定通り、事態が進んでいる事を確信した。腹の上で両手を合わせて三角形を形作る。そして、アダ…
「よくこちらがお分かりになりましたね」 吉川夏雄は、私と格闘した野沢を一脚だけある椅子に座らせると、傷の消毒を済ませ、背中に近くで買ってきた湿布を張りながら言った。狭い部屋に匂いが充満する。 レナは壁に寄りかかり、いつもの調子で本を読み始め…
主要登場人物 宮村エリカ 主人公。高校一年生。文月探偵社の押掛けて雇えと詰め寄る。高飛車で所長をからかって嘲笑う。舞台となっている時代にはありがちな、遺伝子的改変されたデザインチャイルド。頭はいいが、勉強には退屈している。 文月レナ 文月レナ…
パンツ・ルックのスーツを物理身体《フィジカル》に重ねて、私は、朝から、新宿のホストクラブの入り口によくある顔写真を確認した。どこも空振りだったケド。新宿近辺の賃貸情報をネットで検索結果を参考に、新宿周辺の公団やアパートの多い住所を絞って聞…
マンションの外廊下は、日がくれてもまだ暑い。8月は昨日で終わったが、まだ夏なんだと思う。自宅の情報を表示するアプリでは、当然、母はまだ帰宅してない。玄関を開けると廊下の先で、暗い居間に明かりが灯る。 少し弱気になって、エントランスの通過で灯…
俺は、事務机に座って紫煙を吐き出した。コルセットのせいで妙に正した姿勢で。最初は、せめて肘を着こうとしたが、背筋が曲がって腰に響く。おかげでこんな有様だ。 レナは、部屋の端で、学校の制服を着たまま、本に目を落としている。愛想は兎も角、自分の…
前書き 拙作、「探偵少女エリカの拡張された事件簿」第一話 女子高生には向かない職業 終了記念の座談会のログになります。え~本来、一話と二話の間に公開するはずでした。言い訳をしますと、ログをブログの記事にするために編集するのが面倒で、手を付けず…
坂口春香は、娘が友人とした会話をログで追い。幸い、気付かれてはいないことに安堵した。吉川が家を出てから、アリスは反抗的で、不安定だったし、落ち着いて言うことを聞くようになったと思えば、心を閉ざして演技しているように思う。流石にそれを感じな…
ビルのエントランス。自販機で買ったペットボトルのミネラルウォータ。それを片手に外にでる。そのまま左手を持ち上げると、視界の隅に時刻が表示された。16時。9月に入って1日目。残暑というには十二分に蒸し暑い。橋田との会話を思い返しながら、地下…
神崎と面会した建物には学食があり、私はそこで遅めの昼食を食べていた。拡張現実でスーツを重ねていたからだろう。学生が私の前にメンチカツ定食の乗ったトレイを前に置き、親し気に声を掛けてきた。 「君はもう内定もらえてるの?」 小野田と名乗り、清潔…
■土曜日 朝からスポーツクラブで、バイクを漕ぎながら「重版出来」の第三話を視聴。サイゼリヤで食事を挟んで、もう一時間。そのまま茶飲み友達を呼び出してお茶。帰宅後は Raspberry PI3 をいじり、PhatntomJSをインストール。この前、自分でコンパイルした…
「シャーロック、準備は上手く進んでいる?」 吉川アリスは品川の自宅で勉強机の椅子に腰かけて窓の外を眺めながら、通り過ぎる新幹線の音を聴いた。そして彼女が拡張現実《アストラル》による来客を振り返りそう訪ねる。声は不安気に響いた。 「ええ、大丈…
「まぁ、娘の遺伝子をデザインしてやれるなら、それはそうか」 俺は腰を庇って曲げながら、高級そうなタワーマンションを見上げ、自分でも器用と思うような姿勢で呟いた。 あの後、道中、流石に揺れる電車の中で立ったままでいるのはリスクだった。なので、…
今朝、高田馬場にある、2DKの我が家《アパート》で目を覚ました。隣の部屋をのぞくがレナは始業式に出かけた後のようだ。枕元の灰皿と畳に敷いた布団をそのままに、顔を洗いに洗面所へ向かう。通るダイニングキッチンの中央に食卓。壁際にスーパーのレジ…
「まるで、双子みたいですね」 四ツ谷で地下鉄に乗り換えた私は後楽園で降りて、神崎の研究室を訪ねていた。入って正面に開口の大きな窓がある。見えるのは遊園地のジェットコースターやドーム。執務机は景色が見えるように置かれており、神崎は椅子ごと振り…
昭和元禄落語心中(1) (ITANコミックス) 作者: 雲田はるこ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 購入: 3人 クリック: 2回 この商品を含むブログを見る ■土曜日 ラズパイの取り組み 日が天中を過ぎた頃に起きだして、昼食に…
〔長い間お疲れさま。夏雄の頑張りは大学時代から知ってるので、今回の廃業残念です。ひと段落ついたら、久しぶりに呑みましょう。神崎 賢哉〕 私も利用している実名制のSNSで、吉川夏雄の名前を調べた。2月中旬に会社の廃業の挨拶があったが、その悲痛…
「ビジネスじゃないだと? 前にも言ったが、探偵業は子供の遊びじゃない。そうやって、ルールを無視して情に流されたら、どうなるか分かって言ってるのか?」 ため息の後、一考した様子で釘を刺すように、不良老人が言う。私は保護者気取りが癇に障ったので…
■探偵少女エリカと拡張された事件簿 ・第二話 長いお別れ(全16シーン 完結) シーン1 鏡の国の娘 最終改訂 2016/04/13 シーン2 生きた花園 最終改訂 2017/02/12 シーン3 最初の一手 最終改訂 2016/05/05 シーン4 二人の教授 最終改訂 2016/06/06 シー…
彼が居間のソファーに座ってTVを見ている時。近づいて行くと膝の上に乗せられた。私はそれが居心地よかった。だから帰ってきてスーツを着替える時から傍にいて、ソファーに座るまで後をついていった。 部屋の床に座っている彼の背中をよく登った。さしずめ…
■土曜日 金曜日の晩はついつい、宵っ張りになるんですが、早めに入眠。とはいっても1時だけど、休みだしゆっくり起きようと目論んでいました。5時半に目がパッチリと開いて、そのままタブレットでネットしたり、本を読んだり。その結果。土曜日は頭がハッ…
■四日間 11日の祝日に始まり、12日を有給にしていたため、4間日お休みを頂きました。10日の晩、Second Life にインした後、明け方の4時まで起きていたため、11日は友人とお茶に出かけるまで、食事以外は寝て過ごし、帰宅後ももう一度入眠と行った有様。12日…
■探偵少女エリカと拡張された事件簿 ・第一話 女子高生には向かない職業(全17シーン 完結) シーン1 エウレカ 初版 2015/05/06 最終改訂 2019/12/01 シーン2 赤毛の少女 初版 2015/06/06 最終改訂 2019/12/01 シーン3 ちょっとした賭け事 初版 2015/06…
「さすがですな、知られたく無いところまでご存じだ」 平澤が苦笑する。いろいろ考えたが。俺は現実的な答えを返すことにした。そしてもう一本取り出して火を点ける。「雇ってはやれんな」 そういって紫煙を吸い込んだ。「どうしてよ、あんたより早く黒幕を…
「なるほど。となると坂田はあんたらの共犯てワケだな」 俺が尋ねると他愛無い事のように答えた。「そうなりますね」「あんたらに脅されてた。そんなところだろう。幸福になろうとするならば、節制と正義とが自己に備わるように行動しなければならない」「ソ…
俺は銃を片手に、扉を開けてワンルームの部屋に飛び込んだ。まず目に入ったのはスーツを着た男。左手にチョーカーを持ち。右手でサイレンサー付きのピストルを突きつける。相手は椅子に座る八神幸子だ。彼女はこちらに気付いて叫ぶ。「太一さん。今すぐ逃げ…
八神幸子を追って人通りの少ない暗い路地に入る。すぐに、以前レナに渡されたスニーク・アプリの効果対象にガキを加える。 <承認しろ><なにこれ? こんなもの承認するわけないでしょう?> 予想された反応だ。他人からの外観制御を承諾するのは、親から要…